tokainorookie’s blog

やさしい輸入中古車を買って人生に彩りを🇮🇹

BMW 530i(E60)を2年半所有して思うこと

f:id:tokainorookie:20220406154110j:plain

先日、愛車は10万キロを超えた。約2年半で5万キロを走ってきた。

15年落ちのE60はくたびれるどころか益々軽快に走る。今回は所有して感じたことを少し綴ってみようと思う。

 

ボディサイズ

f:id:tokainorookie:20220406161318j:plain

泣く子も黙るEセグメントだ。やはり大きいという印象が勝る。

E90からの乗り換えということで横幅が片側22.5mm大きくなっているが、数値上よりも実物を目にすると結構な大きさだとわかる。特にボンネットからフロントガラスにかけての厚みはかなりのもので、中にはデカくて長い直列6気筒が収まっている。

後継のF10型への流れを考えれば大きすぎるということはないかもしれないが、ゼロクラウンより大きいサイズになるので、小柄な方には持て余すことになるだろう。実際に通勤で使用していても、3シリーズくらいがちょうどいいなと思う場面は多々ある。

f:id:tokainorookie:20220407112030j:plain

Mスポーツはノーマルグレードに比べて約14mm車高が低いセッティングになるが、ノーマルE90よりもフロントバンパーとのクリアランスが確保されており、車輪止めへの注意は少なくなった。

死角は少ない方だとは思うが、見切りの悪さは正直言ってある。恐らくこれは複雑な面構成と丸みを帯びたデザインからくるものだと思われ、車幅感覚を掴むには慣れが必要だ。

 

ドライブフィール

走行フィールは雑味の少ない素直なフィーリングで、伝統的なシルキーシックスの名に恥じないスムーズさを持ち、530iはパワフルな印象である。高出力エンジンにありがちな低速トルクがスッカスカということもなく、2750rpmという使用域で最大トルクを出し、その後もフラットにトルクが続く。どこから踏んでも瞬時に加速する全方位での力の漲りを感じ、街乗りでも高速域でも扱いにくいということはない。

エンジンスタートボタンを押すと、一瞬のうちにグォン!と目覚めるシルキーシックスのレスポンスの良さは、オーナーの五感をも目覚めさせてくれる。

 

BMWは走る曲がる止まるが非常に高い次元で確立されており、驚くべきことにBMWどの車種に乗っても「あぁ、ビーエムに乗っているな」という同じテイストを味わうことができる。この一貫した頑固一徹なモノづくりの姿勢が、ブランドの保持に繋がっていることはいうまでもない。

 

インテリア

f:id:tokainorookie:20220407125744j:plain

BMWに共通する水平基調としたシンプルな設計で、E60の内装はどちらかというと男性的なにおいがするように思う。レザー×ウッドという王道の組み合わせで上質な空間が広がっている。だが15年も経過すると、さすがにレザーもお疲れのようで定期的なケアは必要だ。特に前席は太陽光をたくさん浴びるせいか縮んだり硬くなったりする傾向が強く、年1回くらいはケアローションを使用している。

f:id:tokainorookie:20220407124904j:plain

ドライビングポジションは思ったより取りづらい。座席が大きめで腰が深く腿が上がる形状になっているため、フィット感に乏しく特に左足の疲れをよく感じている。電動オットマンを出せばいくらか楽にはなるものの、レザーということもあり走行中に体が動くのが少々気になるところだ。

f:id:tokainorookie:20220407124828j:plain

このクルマのインテリアで、目を引く最大の特徴は電子式のステップトロニックだろう。木目のトリムにはあまり馴染まないプラスチッキーなシフトノブだが、シフトバイワイヤ化された6速ATは、変速が電気信号化されたことによりロスが少なくなり、変速スピードが格段にアップした。スイッチ式の操作は慣れるまでさほど時間はかからないはずだが、少し気を抜くとRに入れたつもりが実は入っていなかったりと”感覚任せ”でできないので注意が必要だ。

f:id:tokainorookie:20220407124804j:plain

スライド格納式のドリンクホルダー

f:id:tokainorookie:20220407124842j:plain

サイドは手動のブラインド。西日がきつい夕方や夏に重宝する

f:id:tokainorookie:20220407124815j:plain

車内ユーティリティは特徴的なドリンクホルダーの配置をはじめ、助手席足元の小物ネットや後席の3面ブラインドなど、正真正銘の高級車という雰囲気を醸し出している。

HDDナビ、オーディオ関連は初期の設計思想から20年近く経過するため、使い勝手は悪い。最近では携帯アプリでもナビが使えるので、ダイヤルを回して目的地をセットするなんてことはほぼなく、電子地図を参考程度に見ているくらいだ。

また、一部のエアコン操作もI Driveでやることになるが、独立した従来の機械式エアコンの方が今何℃でどういう風がどこから出ているのかすぐにわかるので助かる。F10ではこの点が解消されているので、これは市場の声が影響したのだろう。

f:id:tokainorookie:20220407124914j:plain

乗降性はサイドシルが分厚く、またMスポーツのシートはサイドが張り出しているため、クッションが潰れないように乗り降りするのに気を遣う。後席においても同様でヒールヒットしないように乗り込むのは大変だ。

f:id:tokainorookie:20220407124754j:plain

トランク容量はG系7シリーズを超える520Lを誇っており、開口部も広いため非常に出し入れがしやすい。家族4人で旅行をすることになっても余裕のキャパシティである。

 

エクステリア

f:id:tokainorookie:20220406155609j:plain

スタイリングはとても気に入っている。E60の走行シーンを見ながら飯が食えるほど大好きだ。出自の賛否は既述の通りだが、唯一無二のE60の姿は、モダンで高級とスポーツが同居した何とも言えないオーラを放っており、歴代モデルの中でも際立っているように思う。

デザインの考 - tokainorookie’s blog

 

ボディカラーはアルピン・ホワイト一択で決めてしまったが、E60にはブラックや紺といったダーク系も良く似合っていてカッコイイと思う。白も爽やかで十分カッコイイのだが、膨張色の為かラインがぼやけて見え、全体的にのっぺりとした感じだ。その点ダーク色やシルバーであればソリッド感が増してなかなかクールだ。

 

f:id:tokainorookie:20220406163028j:plain

コスト面で言えば目が飛び出るほどの出費はない。最低限の心構えを覚悟としておけば「なんだ、こんなものか」で終わるだろう。車体価格がこなれてきた低年式3Lセダンが現実的なクルマとして見えてくる。ただし税金関係は、初回新規登録から13年を超えるものは重課になる。2007年式の530iを例にとれば乗っても乗らなくても月6783円が必要経費としてかかってくる。

【故障&維持費】手を出すべきか否かの実 - tokainorookie’s blog

 

長年親しんだBMW「ぽさ」が色濃く味わえるE60には、選ぶに十分足りる魅力があるように思う。振動を上手にいなしながら、つま先までピシッと力が揃ったスッキリした乗り味は、現行タイプにはないBMWらしさがしっかりと感じられる。そのクルマが持つヒストリーにも興味を持ったなら、ぜひ乗ってみることをおすすめする。

 

中古車はご縁

つくづく、中古車との出会いはご縁だなと思う。

欲しい!と思った時にはなく、ふとランチの帰りに立ち寄ったお店で電撃的な出会いを果たすこともある。私のE60は、そのお店が仕入れてから8か月間買い手がつかなかったそうだ。きっとその間にも見に来たお客さんはいただろう。だが様々な事情や順番で、私に巡ってきたのである。第一印象でイヤな感じがしなければ、きっとそのクルマとの相性は良いはずだ。見て触って乗ってみて、できれば試乗もできるに越したことはないが、そうできないこともあるだろう。そういう時はインスピレーションを信じてみるといい。

先日、約半年お客がつかなかったという個体と出会い、話を進めた途端にパタパタと問い合わせがきたようだった。いわゆる「人流」というものは大きな買い物のタイミングにまで作用するらしい。運やタイミングを味方につけて、自分に合った愛車選びをしている時間はとても楽しいものだ。だからこそ、出会ったときはすぐに行動に移すのが大事だ。

次回は、そんな新たな出会いの一台をレポートしよう。