530iにタイヤは何を履くべきか?

こだわる人はこだわるタイヤという部品。

人間で言えば靴にあたるパーツになるが、単価が割と高額なのとあくまで消耗品であるカテゴリーから、「安ければ何でも良い」というのがほとんどの人の本音ではないだろうか。ところがこれは我々が一番こだわるはずの乗り心地に大きく影響している。

 

ランフラットか非ランフラットか

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輸入車に乗られている方々からすれば、まずこれが最初の大きな問題だろう。

ランフラットタイヤは、簡単に言ってしまえば万が一パンクをしても一定距離を走ることができるタイヤであり、2003年から標準採用しているBMWは80km/h以下のスピードで約100キロ程度走れることとしている。

アウトバーンのような高速走行中に普通のタイヤでパンクをしようものなら、たちまち重大な事故に繋がりかねない。ランフラットは元々軍事用途で開発された経緯があるが、欧州の自動車メーカーが挙って使用する背景にはこうした自動車文化や国の環境がある。

安全面でのメリットの他には、スペアタイヤを積まないことによる車重の軽減、トランクスペースの拡大や燃費の向上が挙げられる。また、スペアタイヤの廃棄がなくなることから環境問題にも寄与しているのだ。

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ところがメリットばかりではない。

ランフラットはその構造上サイドウォールが強化されており、特に2000年代初期のタイヤは乗り心地がかなり悪かったようだ。その印象が尾を引いているせいか、ランフラットの性能が向上改善された現在においても、ランフラットタイヤから普通タイヤに換装するBMWオーナーは多い。

 

私は2011年から2019年までの8年間、3つのメーカーのランフラットタイヤを履いてきた。メーカーごとに味付けは異なるが、多かれ少なかれゴツゴツした固い乗り心地はどれも共通してあったように思う。

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現在E60には普通タイヤを履いている。何も言われなければランフラットか非ランフラットかわからないだろう。低扁平タイヤでスポーツサスペンションが入っているE60だ。非ランフラットでも固めの乗り心地である。

今までは「ランフラットを履いていたから」という理由で使い続け、パンクが起こったかすぐに教えてくれるメリットを、乗り心地を上回る安心感へのペイとしていた。しかし愛車を迎えた時すでにE60は普通タイヤを履いていた。当初、普通タイヤに戻るのを躊躇してしまう自分がいたことを思い出す。実際に2回ほどランフラットでのパンク経験もあり助かっていたからだ。だが、乗り心地とコスト、万が一の事態を天秤にかけた時、自分の場合は普通タイヤでも問題ないという結論に至った。また、標準装備から非ランフラットに換えても、ディーラーでのメンテナンスは受けられるので安心していただきたい。

 

★マークの承認タイヤは必須か

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結論から言ってしまおう。

新車購入でないのであればさほど気にしなくて大丈夫だ。サイドウォールに表記された★(スターマーク)はBMWの品質基準を100%満たしているという「お墨付きマーク」であり、当然ながら同じブランドの市販タイヤよりいくらか高い価格になる。

とは言え高いのにはそれなりの理由があり、この承認タイヤはメーカーと一体で開発されている。BMWが求める性能を実現するためにサスペンションとの相性も考慮され、エマージェンシー時の性能を最大限発揮するために生まれてきたエリートタイヤというわけだ。価格分の価値を見出すことができれば選んでもいいが、バリエーションがそう多くはないので交換時に欲しい銘柄に当たらない場合もあるので注意したい。もちろん同等タイヤであっても何ら問題はなくディーラー入庫も可能だ。

 

おすすめのメーカーは?

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さてBMWに合うタイヤは何だろうか。

Continental(PremiumContact)から始まり、BRIDGESTONEPOTENZA S001 RFT)MICHELIN(PRIMACY 4)BRIDGESTONEPOTENZA Adrenalin RE003)→PIRELLI(DRAGON SPORT)と変遷してきた。途中、車両変更もあったので最初の3銘柄がランフラットである。

 

私の印象だが、Continentalは固めのしっかりした乗り心地でロードノイズが少なく欧州車との相性が良い。MICHELINもトータルバランスに優れたタイヤでクセがなく、コーナリングで非常によく粘るタイヤだった。一方でBRIDGESTONEは乗り心地が大変ソフトになり静粛性もまずまず。同乗者がわかるほど評判も良かったが、ゴムの減りが早く2年持たずして交換した記憶がある。

現在E60に履いているPIRELLIのDRAGON SPORTは、ウェット面で少し心許なく感じるが、固さ、ロードノイズなど使用感はBRIDGESTONEPOTENZAと遜色ない。さらに1本あたりのコストも今までのタイヤに比べて1/4くらいになっている。交換後1年9か月が経過し、約37500キロ使用しているが特に問題なく使用できている。

 

BMWはスポーツ志向のクルマなのでスポーツタイヤが相性が良いと思われがちだが、530iのような大きいサルーンにスポーツタイヤは少しヘビーかもしれない。いざとなればグッと踏ん張るが、普段はラクシュリーにゆったり流す。そんな性格が530iには合っているようだ。

 

1. 適度な固さでバランスに優れたMICHELIN

2. コストパフォーマンスが高いPIRELLI

 

どのメーカーのタイヤもそれぞれに一長一短あると思うが、ズバリ輸入車にはタイヤも洋モノがベストマッチだというのが私の答えだ。