
昨年末にオイル漏れを起こしたミニクーパー。
定番症状なだけに比較的簡単に直るかと思いきや、結果としてかなり大掛かりな作業になってしまった。早速その全貌を公開する。
1.オイル漏れは持病
まず第2世代MINIにとってエンジンハウスからのオイル漏れは持病と言っていい。年式や程度に関係なく発生する。これはエンジン全般のレイアウト上、熱の影響を多大に受けやすくガスケットの劣化を常に進行させる。また通常運行であってもオイルの減りは激しく、経験上オイル交換のサイクルよりも「継ぎ足し」が先に来やすいことも覚えておこう。
今回オイル漏れの直接の原因は、オイルフィルターハウジングからの漏れであることがわかった。

この部品は別名オイルフィルターケースやオイルエレメントブロックとも言われ、この部品とエンジン本体を繋げているシーリングの劣化によりオイルが漏れ出すのが定番であると言われている。部品自体は目が飛び出るほどの高額ではないものの、MINIの構造上バンパーやラジエーター、エキマニに触媒など多くの部品を取り外さないとアクセスできない所に付いているため、相応の工数がかかってくるのだ。

ここまでの作業における費用は以下の通りだ。

これで終わるはずだったところが今回長引いた理由は他にある。車両引き取り後ほどなくアイドリングが安定せずエンジン警告灯が点灯してしまったのだ。
2.長引くアイドリング不調の原因
元々購入時から荒削りなドライブフィールなだけにエンジンに絶対的な静粛性を求めてはいないが、加減速を行った際にストール気味になることやブルッブルッとした息継ぎ振動が以前から認められていた。またバックで駐車をする際に感じたマフラーからの火薬のような臭い。マフラー出口の黒いススも付着していることから再度入庫をお願いした。
当初はオイル交換時に少し固めの粘度に変更したそうで、長年蓄積されたカーボン等の汚れが脳梗塞のように悪さをしたと思われていたが、1つの可能性としてVANOSの不調に辿り着いた。いわゆる可変バルブのコントロールユニットであるが、ここの排気側の値が基準値40に対して18までしか動いていないことが明らかになったのである。
とはいえアイドリング不調、排気音の息継ぎ、エンジン警告灯の本当の原因がこのVANOSの排気側の不調だけと判断するのは早計であるらしく、なんと3つのアプローチがあるという。
・VVTの不良
・OCVセンサーが原因
・チェーンの伸びによるインテークとエグゾーストのタイミングずれ
アイドリング不調の類似事例に上記のチェーンの伸びやチェーンガイドの破損があるが、これはクーパーSなどのターボモデルに起きやすい事例でNAモデルのワンやクーパーではほとんど見られないらしい。今回ここ一式の交換も行なっているが、実際私のMINIでも大きな症状は見られなかった。

チェーンに伸びはほとんど見られなかった
では原因は何だったのか。
結果、直接の原因はVANOSの故障と決定づけられた。同時に油圧で動くチェーンテンショナーの動作不良も認められた。

通常はチェーンに適切な力を加えて緩まないようにしているが、テンショナーの不良により圧がかからずチェーンは緩み、エグゾースト側のカムがずれていた。



1つひとつ原因を追究していったため関連するパーツの予防整備も行なっていったが、ここらの交換サイクルは概ね8万キロで交換する例が多く、現在83000キロのMINIもその症例のひとつに加わった。さらに今回の症状に関連する最後の儀礼として、ECUのバージョンアップをしなければ部品を交換しても警告灯は消えない。これはディーラーでのみできる作業となるので、お忘れなきよう。
エンジンチェックランプとアイドリング不調改善にかかった費用は以下の通りだ。

思わぬ長期入院となったが、普段はできないエンジン内部のリフレッシュを大々的に行ったことで、MINIとの生活はまた当分楽しめるだろうと思う。ブレや引っ掛かりがなくなったイエローのMINIは、さらなる魅力を増して帰ってきた。ショップの方々に御礼を申し上げる。