最近MINIの話題が続いたので、久しぶりにマセラティを取り上げる。
今回は私にとって夢のルートであったクアトロポルテの里帰りを日記にしたい。
イタリアはモデナに行こうと言うわけではない。目的地は山形県である。これを聞いてピンときた方はかなりのツウ。クアトロポルテのデザイナー奥山清行氏の故郷が山形県なのである。また祖母のルーツが山形県ということもあって、マセラティを買ったらクアトロポルテで出羽路を走ってみたい、これもまた私の夢であった。購入してから1年が経ち、クルマの調子もわかってきたので計画を立ててみた。
今回は仙台にいる知人に会うことも行程に入れたので、まず常磐自動車道をひたすら北上することにした。
家を出てから仙台に着くまで約4時間。442Nmの高トルクのおかげか長距離は楽だ。ただ路面のクレーターや何となく緩みのあるステアリングと足回りのお陰で気を使って運転しているのは間違いない。やっぱり長距離をイタリア車で走るというのはそこそこに神経を使う。この日はちょうどよい疲労感を持って仙台にたどり着いた。
ついに夢が叶った場所
2日目は村田ICから山形自動車道に乗り、KEN OKUYAMA DESIGN 山形ファクトリーへ向かう。クアトロポルテを買ったら是非行ってみたかったケンオクヤマさんの工場である。スタッフの方に許可をいただいて建物前で愛車との写真を撮らせていただいた。スタッフの方いわく、奥山さんは今山形にいるそうだが今日はまだこちらにはいないとのこと。この工房内でクルマのデザインをしていると教えてくれた。またCASAの開店時間も教えてくれ近くには美味しいお蕎麦屋さんもあるという。なお山形でそば処というとラーメンも提供されるので面白い。スタッフさんにお礼を言い、工房から市街地へと場所を移した。
念願のCASAへ
初めて訪れた山形市はとても機能的な街のように見えた。JR山形駅、山形城跡を中心に碁盤の目のように街づくりがされている。新幹線も通っているからか宇都宮のような街の雰囲気だ。時間まで文翔館(山形県郷土館)を見学し、お昼はたっぷり煮干しが効いた山形ラーメンを選んだ。
頃合いにKEN OKUYAMA CASAへ向かった。ここはいわゆる奥山氏のアンテナショップで、さまざまな作品が並び購入することができる。
「先ほどファクトリーに行かれた方ですか?お待ちしておりました」と歓迎を受けた。どうやら工房の方が連絡をしたらしい。そこで私の想いは溢れ出てしまった。
クアトロポルテに乗っている。買ったらこれで山形に来てみたいと、そして夢が叶ったと。相当暑苦しいイタイ客だったに違いないが、私はマセラティ愛やケンオクヤマ愛を口にせずにはいられなかった。
「あの(クアトロポルテの)曲線は奥山らしい。奥山も喜ぶと思います」と、会計中のわずかな時間で会話をさせてもらった。
米沢市へ向かう
山形市から米沢市まではおよそ1時間。国道13号をひたすら南下する。この13号線に平行する形で東北中央自動車道が通り、のどかな日本の原風景が広がる中をフェラーリサウンドがこだまする。とはいえ決して爆音ではない。乾いた音が高らかに、実に品よく歌い上げるのだ。
上山、南陽を抜けると県の最南端にある盆地が米沢である。上杉氏の城下町として知られている。この日は米沢の奥座敷に位置する小野川温泉に泊まった。小野小町に由来する美人湯として力を入れており、規模は小さいが泉質は最高。地元に愛されている情緒ある温泉街である。
なせば成る なさねば成らぬ何事も
念願だったクアトロポルテでの山形ドライブはトータルで約720キロという長旅となった。正直なところ、ネオクラシックの域に来たマセラティでも案外フツーに走れるんだなということがわかり心強くなった。常に異常事態を想定して緊急用の道具はトランクに積んでいるからだ。また身体の疲労度も少なくなってきているのを感じており、だんだんと乗りこなせてきているのかなとも思う。今後も裏切られないようにご機嫌を伺うことを忘れないようにしよう。ちなみに今の平均燃費は9.9km/lを表示しており、今回9割ほどを高速走行してきたが、高速燃費は15km/lくらい出ていると思われる。
自分の愛車で自らステアリングを握り、旅をする。現地で名物を食らい、温泉に入る。一期一会の人との関わりに感謝をし、見聞を広める。電車でも飛行機でもなく、自分のお気に入りのクルマで行くことにフリークの醍醐味がある。幸い天気にも恵まれ、私にとって夢のような3日間であった。
目標だったマセラティの購入、買ってからの山形訪問。やはり心に決めたことは必ず叶うのだ。山形にちなんでこの言葉で記事の結びとしたい。
「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人の なさぬなりけり」ー上杉鷹山公