tokainorookie’s blog

やさしい輸入中古車を買って人生に彩りを🇮🇹

32歳、530iを買う———出会い。

終わりはスタートである

8年5か月143,730キロをともにした2011年式のE90 320i。

豪雨災害に見舞われ、別れは突然だった。

保険の付帯サービスでF20(1シリーズ)を代車としながら、生活をする。貸出期間1か月。この1か月で次の相棒を探さねばならない。

 

とはいえ、次に乗りたいクルマを以前から考えていたわけではない。予期せぬところで急に大きな決断を迫られる、しかも猶予は短い。人生とはそんなものだ。

 

もう一度E90を買い直そうか、F30にしようか、大排気量アメリカ車への憧れもある。

とにかく自分が払える能力の範疇で、予算に見合うものを探す。だがなかなかピンとくるものは見つからない。お店を回っても、めぐり合うのは難しい。力んでいる時は遠のくものなのか。

そんな時ふと、湾岸線で出会ったE60の後ろ姿を思い出す。

 

シルキーシックスへの憧れ

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免許を取ってほどなく、国産の小型セダンを乗り回していた私は、葛西付近で白のE60を前につける。その後ろ姿は少々荒々しいものであったが、翼を広げたような後期のファイバーチューブが妖しく光り、同色のディフューザーが迫力を与えていた。その造形がとにかく都会の夜にマッチしていたのである。

 

シリンダー1本50万円。これがBMWの4気筒と6気筒の価格差である。

長らく4気筒に満足していた私は、ビーエム乗りならいつかは6気筒を味わってみたいと、どこかの記事を見て意識していたのかもしれない。

またE90を買う時にはすでに新車販売を終了していたE60だが、今なら手が届くところにいるかもしれないと、ここへきて急に意識が向いたのである。

そうだ、やっぱりBMWだ。今度はシルキーシックスだ。

 

出会い

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長年ともにした相棒を忘れまいと、条件にしたのは前車と同じアルピン・ホワイトとサンルーフ。E60なら迷わず熟成された後期と決めていた。

見つかったのは隣県にある専門店。さっそくF20で向かう。

そこで出会った2007年式のE60は、決して極上車ではなかったが手が届くところで待っていてくれたような、そんな感じがした。

Mスポーツを纏ったメリハリのあるボディに、フィルム未装着の素ガラスが妙に新鮮に見えた。12年落ちとなれば多少の劣化はあるが、ノーマルを維持した状態は好みに合う。

頭の片隅では低年式の530ということもあり、維持できるかの心配はあった。320より古いクルマを買うのだ、同じようにはいかないという思いもあった。買って早々ミッションが壊れて70万なんてなったらシャレにならない。

けれども担当者と話しているうちにそれらの心配は薄らいでいく。そしてそれらは杞憂に終わることを、後になって知ることになる。

この日契約するつもりはなかったが、条件が揃ったところでサインをした。

こうしてE60 530iは、私の竜になった。